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なのに、そのひとは、更に言葉を繋いだ。
「もしも、お前と別れるときがあるとすれば」
それは、俺が死ぬときだ。
最高の愛の言葉であると同時に、最も恐怖をもたらす言葉。
桜田は、再び震えた。
高原はそれを愛の言葉として囁いたのだろう。
その気持ちは、とても嬉しい。
泣きたいぐらいに。
だけど。
それは、いつ来るかわからない永遠の別れから、目を逸らして逃げることすら許されないという、苦しい束縛でもあるから。
高原の熱い手のひらがシャツの中に滑り込んでくるのを、今度は桜田は拒まなかった。
愛しいひとが生きている、その熱を全身で感じたかった。
首を捻って、自分から唇を重ねる。
貪るような激しいキスを、桜田も必死に貪った。
高原に馴らされた身体は、すぐに甘い疼きに痺れてくる。
その快楽の海に溺れてしまっている間は、何も余計なことを考えずに、ただ高原を感じていればいいだけだ。
だから、ひたすらに、その熱を追い求めて。
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