…Play into his hands…

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高原は極道の男だ。 抱かれるたび、それは思う。 その背中の美しい彫り物が嫌でも目に入るから、というだけでなく。 そもそも男同士のセックスなんて、どうするのか朧気にしか知らなかった桜田だが、それでも、そのひとがやたらテクニシャンなのはわかる。 たぶん、経験値が半端ない。 それは、裏の社会に生きている男だから、というのが、間違いなく関係している。 その男に、まだ幼稚だとさえ言っていい性的経験の浅い身体を、文字通り調教されているような状態の桜田だ。 「や…っ……そこ、やだ……ぁ」 胎内に呑み込まされているのは指だけ。 それでも、頭の中が真っ白になるような快感に、身体の痙攣が止まらない。 触れられてもいないのに弾けそうになる自身の熱をどうにかしたくて勝手に揺れる腰からは、たっぷり注がれた潤滑剤の湿った音がぐちゅぐちゅと絶え間なく漏れている。 「や、じゃないだろ、イイ、だ」 甘く囁けば、更に背中が震えるのはわかっている。 やだ、と言われているその場所を、指の関節を使って更に強く擦り上げる。 高原のその行為に、桜田はとうとうびくんと跳ね上がった。 「後ろだけで、イッたな?」 それも、指だけで。 高原の可愛い可愛い子犬は、潤んだ瞳を閉じて、荒い息を吐いて、まだ余韻に震えている。 指だけでイカされたことを恥じているのか、頬を紅く染めて、その染まった顔を見られたくないと背けようとして。 それがまた男の劣情を煽り立てることも知らずに。 「崇史」 名前を呼べば、後ろに入れたままの指をきゅっとそこが締め付ける。 再び指を緩く動かす。 もう十分に解れているのはわかっている。 でも。 「も、指やだ…早く、エータの、欲しい」 ぎゅっと彼を睨んでくる、その潤んだ激しい熱を含んだ瞳。 ねだる言葉を、その唾液で淫らに濡れた唇から漏らして欲しい。 素人の、それも童貞に毛が生えた程度の経験しかない学生に、少しずつ少しずつ教えなくてもいい快楽の扉を開かせているのは、もちろん桜田を気持ちよくしてやりたいという想いが大半だが。 高原以外の男では、もちろん女も含めてだ、物足りない身体にしてしまいたいという欲求もほんのり混ざっていたりする。 彼だけに甘く鳴く子犬に。 桜田は素直だ。 教えられる快楽を、素直に呑み込んで覚えていく。 高原は、上手にねだった子犬にご褒美をあげるべく、埋め込んだ指をずるりと引き抜いた。
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