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何度も何度もいろんな形で絶頂を味わされて、桜田は高原の腕の中でぐったりと微睡んでいる。
会える回数が少ないからか、会えば最終的には腰が立たなくなるまで抱かれるのはいつものことだ。
毎晩コンスタント…にこなしているらしい桔平のほうが、もしかしたら身体的には楽なのか?と桜田は思わなくもない。
でも、高原の熱を身体全体で感じさせてくれるこの行為を、桜田は嫌いじゃない。
時間をかけて丁寧に丁寧に施される愛撫は、指先から、手のひらから、唇から、舌から、彼に触れる全てから、溢れる愛情を感じられる。
そんなことを考えながらウトウトしていたら、クスッと耳許で甘い笑い声がした。
「もう腰が壊れる、と言っていたのに、やっぱり足りなかったか?」
そっと触れられたそれが、少し熱を帯びている。
その甘い愛撫を思い出しただけで、これだ。
麻薬のように、桜田を蝕んでいる。
「違っ……ホントもうムリだし…」
「若くて羨ましいことだ」
クスクスと笑われて、桜田はムッと唇を尖らせた。
「若いって…あんたは何歳なわけ?」
「32だ」
お前から見たら立派なオッサンだろう?
「え…あんた、30超えてんの?」
ちょっとびっくりして、彼は、聞き返す。
20歳の大学生から見たら、30超えなんて確かにオッサンだ。
高原は普段から鍛えている引き締まった身体のせいか、そんなに年上には見えなかったが。
てゆうか、ホント、堀越のことをとやかく言えない自分になってきた。
ついこの間まで、男、それもオッサンに抱かれるなんて、他人のこととはいえ、あんまり想像したくない、とか思っていたのに。
今となっては、この鍛え上げられた腕の中から身体を離すのがさみしくてたまらない。
「そうだ、30オーバーだからな、若い恋人に物足りないなんて思われないように、毎回必死なんだ」
フッと悪戯っぽく笑う高原からは、とても必死そうな雰囲気は感じられないが。
むしろ、毎度新しい快楽の扉を開けられて溺れる桜田のほうが、よほど必死だ。
「物足りないと思われるのも嫌だが、しつこくてウザイと思われるのも嫌だし、なかなかちょうどいい終わり方に悩むところだ…」
崇史は、満足できてるか?
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