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不器用な君、優しいあなた
【深夜、秀楽園・水戌の部屋】
水戌「…………んー、これじゃ面白くない展開だなぁ、ボツ」
くしゃくしゃ、ぽいっ
コンコンッ
水戌「どうぞー」
卯恋「お、お邪魔しまーす…っ」
水戌「卯恋、何しに来たの?邪魔すらなら出てって今すぐ」
卯恋「え?え?水ちゃんひどーい!!お茶持ってきたのに!お茶いらないなら出てくけどさ!」
水戌「ふーん。まあ、せっかくだからお茶もらってあげるよ」
卯恋「ほ、ほんと!?」
水戌(……うさぎのくせに、犬の耳と尻尾が見える)
卯恋「……はい、お茶どうぞ!」
水戌「ん、ありがと」
卯恋「原稿は進んでるの?」
【実は水戌は売れっ子小説家なのである】
水戌「んー、まあまあかなぁ。今ちょっと行き詰まって……(ごくっ)……ぶーーーーーっ!?」
卯恋「ぇええええ!?水ちゃん!?どうしたの!?」
水戌「…………卯恋、これ、お茶っ葉どのくらい入れたの?」
卯恋「えっ?山盛り3杯くらいかな?それがどうかしたの?も、もしかしていれすぎ!?渋かった?」
水戌(どう考えてもいれすぎだろ……。はぁ、卯恋のことだから予想してたけど。僕を気遣っていれてくれたから怒れない)
水戌「……少し、ね。今度いれるときは山盛りじゃなくて普通に1杯でいいから。ね?」
卯恋「ご、ごめんなさい……。い、いれ直してくるから無理して飲まなくてもい……」
水戌「ご馳走さま」
卯恋「って、水ちゃん、飲んだの!?飲まなくてよかったのに……」
水戌「飲めないほどじゃないよ。じゃあ、もう1杯いれてきてよ」
卯恋「え、う、うん。わかった…」
バタンッ……
水戌「………………渋かった」
水戌(でも、不味くはなかった)
【キッチンにて】
卯恋(水ちゃんにいれたお茶、味見すればよかった……。喫茶店で働いてるのに、お茶もコーヒーも上手くいれられないなんて…。私のバカバカ!でも、水ちゃん、飲めてたってことはそんなに渋くなかったのかな?)
【自分用にいれたお茶をごくりっ】
卯恋「しっっっっっっっっぶい!!!」
卯恋(水ちゃん、無理して飲んでくれたのか……。あー、もう……好き。冷たいのにこういうときは優しいんだもんなぁ、水ちゃんは)
卯恋「よし!美味しくいれるぞ!」
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