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溶け合う魂
もし魂に色があるとしたら、
私は間違いなく黒だろう。
それもただの黒ではない。
闇の中にある闇のような、漆黒だ。
私は数多くの人生を狂わせてきた。
一目見れば、相手の弱点を見抜くことができ、
息をするように人を騙すことができた。
愛し合うもの同士を衝突させ、憎しみ合うように仕向けたこともあった。
悲しみに暮れる相手を、さらに深淵へと突き落とすこともした。
いわゆる悪と言われる行為をするのに、私は一切躊躇がなかった。
まるでそれが、人間が四つ足から二足歩行になるように、
ごく当たり前に、自然にできてしまうのだった。
特に青年期までは、それを良しとしていた。
自分の生き方を他人に合わせるのは窮屈で、
何より私以外の人間は皆、優しい人が多かった。
優しいということは、簡単に壊せるということだ。
いつでも相手を壊せる立場にある私は、
常に優越感に浸っていた。
そんな私の本質に気づき、対立する相手もいた。
彼らは正義感を武器に私の悪意と戦った。
おそらく恵まれた環境で育ったであろう彼ら。
努力も、挫折をも糧にできる強さを持つ彼らは、
限りなく白に近い魂の持ち主なのかもしれない。
しかし、誰もが私に敗北した。
白という色は何色にも染まる。
いや、染まってしまう。
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