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「お水、飲む?」
ベッドでぐったりしていると、彼はすぐにペットボトルの水を持ってきてくれた。
「ありがと、飲む…」
私はそれを受け取って、勢いよく飲んだ。ああ、喉がカラカラだ。部屋の空気も乾燥していて不快だ。
「もう少しベッドで休む?それか、一緒にお風呂入ってもいいけど」
「少し疲れちゃったから、ここでごろごろしよ…。お風呂は…簡単にシャワーで済ませるから」
「そっか。じゃ、失礼して」
彼はペットボトルを近くのテーブルに戻すと、私の隣で横になり、体をぴたりと密着させて来る。そして、
「ん」
と言って腕を差し出してきた。腕枕をしてくれるのだ。
「…腕枕、いいって言ってるのに。腕しびれるでしょ?こっちが落ち着かないんだって」
「…といいながら、腕枕好きじゃん。してる時のほうが幸せそうな顔してるよ、ユリは」
「……」
彼は私のことをよくわかっている。“お前のことなら何でも知ってるんだ”と言わんばかりの表情をした彼に、悔しいような、複雑な思いがする。
「…まぁ、いいや。じゃあお言葉に甘えて」
私は彼の腕にそっと頭を乗せた。
ちらと彼の顔を見ると、彼が私の目を見つめてふっと笑った。
綺麗な顔だなぁ、と思った。
ちょっとゆるいパーマを当てている、ふわっとした茶髪。その茶髪の奥にはくりっとした可愛らしい瞳。同世代なのに、彼は私よりも童顔で若く見える。正直、うらやましい。私は年相応か、下手したら実年齢よりも老けて見られることもある。今日は久々にきれいにお化粧をして髪も巻いてきたけれど、普段は忙しすぎて、あまり身だしなみを整えることができていないせいだ。
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