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「最近、忙しいんだって?ユリと3か月も会えないとは思ってなかった。正直、自然消滅されたらどうしようって思ってたよ」
「忙しいよ。毎日毎日、自分の食事やお風呂の時間も十分に取れないぐらいだから。ルイくんと頻繁に会うのは無理だね。まず無理。…ごめんね」
「そっか…寂しいな」
「…でも、ずっと会わないつもりはないから。たまにはこうして息抜きしないと…やっぱり、疲れちゃうから」
そう言うと、彼は私の頭を撫でてきた。
「ユリはよく頑張ってるねー。えらいえらい」
「……もう、子ども扱いしないでくれる?」
「はは、ごめん。でもこうしてなでなでされたら癒されるでしょ?」
彼の手のぬくもりが、撫でられたところからじんわりと伝わってくる。
すでに全身がぽかぽかに温まっているのに、こうして撫でられてまた体温が上がった気がした。
体を重ねるのもいいけれど、こうした何でもないスキンシップのほうが癒し効果は高いのかもしれない。なんだかとっても心が落ち着く…。
「…うん、ありがと。たまにはこうして、人のぬくもりを感じるのって大事だよね」
「そう思う。俺も癒されるよ。ユリって、いつも最初は張り詰めたような“余所行きの顔”してるんだよね。でもこうやって過ごしてるうちにだんだんリラックスした顔になって、エッチが終わるころにはよくなついた犬みたいな顔になってんの。すっげー可愛いと思う」
「ちょ…よくなついた犬って…!そんな風に思ってたの!?」
私は彼の胸板をこづいた。そこそこ鍛えられていて、無駄な肉のない体。本当に彼はどうして、若くて綺麗な体を維持できるんだろう。お互いにアラサーなはずなのに。
「ごめんて、褒めてるんだよ」
「褒めてない」
「褒めてるって」
こうしてくだらないやりとりをしながら、私たちはベッドの上でのんびりと過ごした。
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