2つのぬくもり

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 ラブホテルを出た後、私たちは手を繋いで最寄り駅まで歩いた。来るときは晴れていたのに、今は粉雪がちらついていた。鼻先がつんと冷える。 「…それじゃ、また。次に会えるのはまた2か月とか3か月先になるの?」  彼は寂しそうな表情でそう言った。そっちこそ、お留守番をさせられてる犬みたいな顔してる。 「…うん、そうなると思う。下手したらもっとかも」 「………そっかぁ…。…でも、たまには連絡するからね」 「…まぁ、ほどほどにね。でも、営業されても多分無理だから」 「わかってるよ。…でも楽しみに待ってるから。事前に連絡くれたら、スケジュール上げる前に枠確保しとくからね」 「ありがとう、それじゃ」  私は彼の手を離した。  手のぬくもりが急になくなって、一気に冬の寒さを感じた。 「…さて」  出張ホストのルイくんに見送られながら、私は電車に乗り込んだ。“ユリ”という偽名から、OLであり主婦であるいつもの私…“山城 百合”に頭が切り替わる。    自宅の最寄り駅に着いたら、駅前のスーパーに入る。野菜の底値はなんとなく頭に入っている。今日はほうれん草が安いから、お浸しを作ろう。あとは、ゆっくり作っている時間はないから、牛肉か豚肉、セールになっているほうで簡単な炒め物を…。
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