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スーパーの袋を抱えて自宅に着くと、まだ2歳になったばかりの娘が出迎えてくれた。
「ママ!」
「ただいま。今日、どうだった?“子供パーク”、楽しかった?」
「パパがね、ペ、した…」
「ぺって何!?」
足にまとわりつく我が子を蹴らないように注意しながら靴を脱いで部屋に上がると、今度はパパが出て来た。
共働きで、パパは残業だらけのブラック企業勤めだから、平日はいつも私がワンオペ育児をしている。その代わり、土日のうちどちらかは彼が一日娘とお出かけして、私に自由な時間をくれるのが通例になっている。
と言っても、平日にできなかった家事をしたり、保育園で必要な書類や用具をそろえたり、家計簿をつけたり、病院に行ったりと細々としたことで時間がつぶれて、本当に自由に遊ぶほどの時間はなかなか取れない。
だから今日は本当に久しぶりだった。こうして、出張ホストとホテルにお出かけしたのは。
「ほい、荷物半分ちょうだい。運ぶの手伝う」
パパは私の手からスーパーの袋を一つ取った。その時、少しだけ手が触れた。
夫の手も、娘の手も、ルイくんほどにはあったかくない。体のぬくもりと言う意味では、ルイくんが一番だ。
…だけど。
「パパがね、ペってしたんだよ…」
「だからペって何なの?」
「あー、あれだよ。ボールをぺいっぺいって言いながら投げてたの。したらボール投げることをぺって言うようになっちゃった」
「あはは、そうなの?あんまり変な言葉覚えさせないでよ?」
こうして家族と何気ない会話をすると、ほっこりと心が温かくなる。
旦那とはセックスレスで、もう体のつながりは求めていないけれど。心が幸せになるのは、間違いなく家族といる時だ。浮気をしようなんて思っていない。別れたいとも思っていない。夫も、娘も、私にとってはかけがえのない存在なのだ。でもどうしようもなく体が寂しい時だけ、ルイくんに助けてもらう。
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