第1話

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第1話

 例え運命の番でなくとも、好きで番になれば、この人と一生を添い遂げることができるのだと、信じて疑わなかった。  お互いが好きで番になったのだ。  それなのに、彼は番を解消した。  それは、いとも簡単に。  もっと酷く言えば、オメガを「捨てた」のだ。  番を解消されたオメガは、これから地獄を見ることになる。  それが、オメガにとってどれだけ死を意味するのか、アルファにとっては到底理解できないだろう。 「っ、……は、ぁ……」  番に捨てられてしまったオメガの身体は、抑制剤も効かない。  抑制剤以外の薬なんてもっと太刀打ちできないこの身体は、今にも苦しくて悲鳴をあげている。  とどのつまり、三ヶ月に一度発症する発情期に、一生苦しまされることになる。  こんな気持ち、アルファには一生わからない。  熱に蝕まれ、たくさんの欲を吐き出しても、終わりの見えない時間を過ごす。  幸い、番を解消されたアルファとの間に子はいない。  そればかりは、今思うといなくてよかったと安堵した。 「ぁ、く……っ」  正直、この先ひとりで過ごしていくには限界がある。     
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