後日談④いつかやってくる君へ

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後日談④いつかやってくる君へ

 順調ですね、と告げる医師の言葉に、二人はひと安心する。  先日、はじめて綾人が「巣作り」をしたことを報告すれば、医師は自分たちのように喜んでくれた。  それがとても嬉しい。 「ここまでくると、あとは時間の問題かもしれませんね」 「どういうことですか?」  お互いに顔を見合わせ、不思議な表情をする。  時間の問題とは、いったいなにを意味しているのだろうか。 「五月女さんには、あまりいい話ではないかもしれません」 「綾人となにか、関係があるんですか?」 「……子供、ですよね」  綾人はわかっていたのだろう。  月経も迎え、巣作りまできた。綾人の身体は、昂と番になったことで少しずつ変化してきている。本人はもちろんのこと、医師も見守ってきたのだ。 「ええ。薬の過剰摂取とストレスで子供は難しかったかもしれませんが、これで授かれる可能性が出てきたということです」 「先生……」 「発情期に性行為をすればオメガは確実に妊娠します。――純正のアルファであれば、です」 「……問題は、俺ですね」 「はい」     
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