第3話

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第3話

 共に一緒の時間を過ごすようになれば、少しずつ変わってくるものもある。  発情期以外での綾人は、家のことを手伝うようになった。 「迷惑かけてばかりで、お礼にすらならないけど……俺に、家のことさせて?」  願い出たのは綾人からだ。  昂は、別に迷惑だと思ったことは一度もない。  それに、番を解消されて、ある意味自由になったのだから好きに過ごしてくれてよかった。社会復帰は難しくとも、気分転換で近所を散歩するなど、綾人の過ごしやすいように過ごしてほしいと思う。 「迷惑とか思ってないから」 「でも……!」  勘違いしてほしくなくて、やんわりと誤解を解いておいた。  それから「本当にそれでいいのか?」と訊けば、綾人は「昂の役に立ちたい」と、なかなかに頑固なものだった。  そういうことであれば、無理に駄目だと否定するわけにはいかない。綾人がそうしたいのであれば、その意思は尊重すべきで、昂は「わかった」と素直に受け入れた。 「よかった」  安心した表情を見せる綾人に、昂は眉を八の字にして笑みを浮かべた。 「だけど、無理はするなよ」 「うん。大丈夫」 「その大丈夫が心配なんだ」 「心配しすぎだよ、昂は」     
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