第6話

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第6話

 発情期が落ちつき、昂は綾人と一緒にバース専門の病院へ訪問していた。国の機関と認定されているこの病院には、研究所も併設されており、一番最先端をいくバース専門機関となっている。  また、一日に受診できる人数が限られているため、来訪する際には要予約となっている。  その病院へ、内心不安な気持ちを抱いたまま訪れた。  ――一緒にいかないか?  そう綾人に告げたのは昂からだ。  なにがあったのか、綾人も恐らく予想はしているのだろう。  発情期で熱に浮かされていたとしても、今までにない情事を営んだことに関しては身体が覚えている。  だから綾人は、昂の誘いに「行く」と言って同行した。  そんな二人は今、緊張な面持ちをしたまま、ロビーで待機していた。  二人の間に会話はない。 「――……さん、如月昂さん」  ただ名前を呼ばれただけなのに、二人して肩を震わせた。  ここで「なんで綾人まで緊張してるんだ」と、笑いながら言えればよかったのだが、そういうことを言える空気ではない。  お互い、緊張で心がざわついているのだ。     
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