出発

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新しい環境へと考えた時にまず僕が行ったのはネットから転職紹介企業に登録をすることだった。 たくさんの転職紹介企業があることを知ってどれに登録すれば良いのか迷ったが、一つだけ不思議と魅力を感じる紹介企業があり、そこの会社に登録してみた。 そして次の日には転職エージェントという人間から直接会えないかと連絡があり、転職紹介会社に行くと待合室に通され、1人の男が現れた。 渡された名刺には転職エージェントという肩書きとその下に中垣(なかがき)(れい)という名前が書かれていた。 身長は180cmを超えていて、バスケットボールの選手のように見え、髪はショートヘアで、少し光沢のある黒の上下のスーツを身につけている。 彼の立ち振る舞いは僕と会う日が来るのを何年も前から待ち侘びていたかのような喜びに溢れていた。 中垣さんは僕が以前働いていた会社を知っていてすぐに打ち解け、僕も彼に好感を持ち、転職の際の自分の条件、要望などの話した。特に強調したのは自分が成長出来る場所を求めていることだ。 「あなたの望んでいる会社のことはよくわかりました。それを加味して私が提案する会社はこちらです。年収は今より上がります。それにあなたは必ずこの会社に貢献出来るし、この会社で働けばご自身でも必ずプラスになることは間違いないと思います」 中垣さんから紹介企業をパンフレットを渡された。 「よく、ご自宅に戻って検討して下さい。 それで佐原さんが気に入ってくれれば返事を下さい。すぐに先方にご紹介のアポイントを取りますので」 パンフレットには錦の花株式会社と書かれていた。家に帰ってから僕はファミマで買った肉まんを齧りながらネットで会社の概要を調べてみた。 横文字が並ぶ業務内容、良心的な口コミなどを読み進めている中で転職を躊躇するような問題点は見当たらなかった。会社自体はまだ小さいのだが自分が働く姿を想像すると胸の高鳴りを覚えた。際限のない可能性を感じた。直ぐに中垣さんに携帯に連絡をして是非、紹介をお願い出た。
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