出発

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キキーキー。 電車の速度がゆっくりになる。 『揺れが激しいため速度を落として走行します』 ドガン。ドカン。 また弾が車体を擦り激しく揺れる。 「若いのぉ。しっかり捕まってな。これ辺りが攻撃の激しい地域なんだから。一応この電車は鉄鋼車で窓は防弾ガラスだからそう簡単には壊れないようになっている」 おじいちゃんとおばあちゃんはしっかりと手すりにつかまっている。 まるで日常に慣れっこのような振る舞いだった。周りに座っている人間も比較的落ち着いている。 それにしてもこの電車は攻撃を受けているから運転見合せや遅延が多いのか。 このまま状態だと駅の到着も遅れ、待ち合わせ時間に遅れてしまう。もし遅れてしまえば企業の紹介自体もなくなってしまうかもしれない。 中垣さんは何故こんな遅れる可能性が高い電車を使うように念を押したのかわからない。 おばあちゃんとおじいちゃんは不思議そうな顔をしてこちらを見ている。 「若い人ぉ、なんだがよくわからないが、時間に遅れてはいけないみたいだね。だが戦火なるとなかなか先に電車が進まないんだ。このままだと運転見合せになるな。なぁばあさん」 おじいちゃんは隣のおばあちゃんに問いかける。おばあちゃんはおじいちゃんの手をしっかり握り、にっこりしながらうなづいている 「おじいちゃん、おばあちゃん。随分と落ちついていますね。良く乗るんですか?この電車」 「買い物に行く時はいつもこの電車に乗っているんだぁ。だから慣れっこだぁ」 おじいちゃんが話す横で、おばあちゃんは口に手を押さえて笑いを堪えている。 『揺れが激しいので急停車します』 「ついに停車かぁ」
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