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カンカンカン
丘から放たれた銃の弾が車体が弾く音が聞こえる。
ドガン
手投げ弾を投げたみたいだ。
また車体が激しく揺れる。
「今日は随分、相手は力が入っているみたいだぁ。いつもなら弾薬が切れて終わっているはずなのになぁ。今日でカタをつけるつもりなのかのう」
電車は停車したまま少したち
僕は時計を確認する。
12時15分だ。
やばい。
到着予定時間を10分以上過ぎている。
中垣さんとの待ち合わせ時間に遅れてしまう、
連絡して遅れることを伝えなくてはならない。
僕はジャケットのポケットからスマホを取り出して液晶を見た。
「あれれ、電波が入っていない」
僕は激しくスマホを振ってみる。
しかし電波が入らない。
「無駄ですよ。この辺りは電波が入らない。電話の妨害電波が出ているんですよ」
少し離れたところで本を読んでいる女性が話しかけてきた。足元にネギだけ飛び出した袋を見ると買い物帰りの主婦だと思われる。
「連絡すら出来ないのか。遅れちゃまずいんですよ。どうしたものか」
僕は無意識に地団駄を踏み出した。
主婦は本を閉じて、席を立つ
僕の座っている座席の下に指をさす。
「その椅子の下に緊急用ロケットランチャーがあるからそれを使えば相手を黙らせることが出来るかもしれない」
「え」
僕は座席の足元をみた。
小さなトッテがついていた。手前に引くと前にボックスが拡張して、長い細い機関銃に頭が扇型のものが出て来た。それは黒く磨いてありピカピカに輝いていた。
「それであそこの少しデコボコになった丘のあたりを狙って撃ってください。あそこが補給庫になっている筈ですから。上手く命中すれば少しの時間、相手の攻撃ご止むかもしれません」
「僕は、こんな銃を使ったことないのですが」
少し触ってみた。持ち上げてみると重厚な鉄の重さに手が震えた。
「腕で持とうとするから重いのであって深く右肩にしょい込めば持ち上がります」
僕は言われた通り背負い込むと肩に持ち替えることが出来た。
「でも使ったことないんですよ」
「電車が遅れてはまずいんのでしょう?今、それをあなたが使うしかないのですよ。あの人たちを黙らせない限り電車を進ませることは出来ません」
その主婦の顔は真剣だ。
僕は覚悟を決めなくてはならない気がした。遅れてしまったら紹介はなくなってしまう。ここは自分で対処しなくてはならない。やるしかないのだ。
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