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「そいつの育ち方次第だな。二年前の柚野みたいに一気に戦力になる人材だったらもしかしたらそっちに任せてお前も動けるようになるかも。でも、焦ることないよ。時間はたっぷりある」
上体を起こして姿勢を正し、わたしに向き直った。
「こっちくるのに何年かかってもいいじゃないか。今やってることも絶対、今後の役に立つわけだし…。イベントは企画するのも楽しさがあるし、毎回新鮮な発見もあるけど。ある意味作っては壊し作っては壊し、なとこもあるからな。永遠に続く文化祭みたいなっていうか」
「ああ、はい。わかります」
わたしは深く頷いた。
「後には残らないものを短期間に集中してみんなで力を合わせて作り上げていく。その良さもあるって思うんだけど。でも、今柚野がやってるような仕事だって羨ましいなと思うこともあるよ。自分が立ち上げに関わった店とか事業が、最初はよちよちながら少しずつ成長していって立派にやっていけるようになるのを一緒に手助けできるって。気長な話だけど実りある仕事だろ。気がつけば自分が手伝って生まれた店がいくつもいろんなとこにあってさ」
「ああ、はい。ほんとにそうなんですよ」
わたしは思わず疲れも忘れて顔を綻ばせた。
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