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「だから、なかなか勇気が、…出なくて。でもやっぱりこのままずっとはつらい。お前はそんなこと俺からいきなり言われてショック受けるかもだけど。今までそんな目で見てたのかって。…でも」
思いきったように両手が頬を挟む。緊張に耐えられず思わず目を再び閉じると叱咤された。
「目ぇ開けろって。…柚野の気持ちがちゃんと知りたい。俺に気を遣ってその気もないのに受け入れたりこっちに無理に合わせたりしなくていいんだ。断られてもそのあともちゃんと今まで通りに接するって誓うよ。…だから、正直な気持ちを聞かせてほしい。お前、俺のこと。どう思ってる?」
「佐内さんが好き」
考えるまでもなくその言葉が口から飛び出した。ああ言っちゃった。
思えば彼の方はまだそんなこと口にしてないのに。結局自分の方から切り出しちゃったか。え、そんな話じゃないよとか慌てて否定されたらどうしよう。
でも言葉にしちゃったものはもう引っ込めようがない。わたしはやけくそで間近な彼の目をまっすぐに覗き込み、ど真ん中に渾身のストレートを投げ込んだ。
「ずっと、これまでも。多分ほんとに最初の頃から。…でも、好きな人のためにだけ仕事頑張ってると思われたくなくて。佐内さんに認められたい、褒めてもらいたいと思って頑張ってたのは本当だけど。…それだけが動機だって思われたらきっと軽蔑されちゃう。だから」
「そんなこと思わないよ」
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