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なんだか身体のあちこちが熱くなったり冷たくなったり、変にずきずき疼いたりする。大好きな男の人と身体をくっつけ合ってると。もしかしたら自分がすごく、へんになっちゃうかも…。
「…あぁ、桃」
長いキスを終えて、佐内さんがわたしをぎゅっと抱きすくめて耳許で囁く。
「好きだよ。…好き」
「うん。…わたしの方が、全然。もっと」
好き、と言おうとしたところで。部屋の外がざわざわし始めて、流れてくる音楽が変わったのがわかった。…いけない、時間。
彼も慌てた様子でわたしから身を引き剥がし、腕の時計を見る。仕事柄いつも携帯で時間を確かめるってわけにもいかないから、と腕時計をいつも付けているのを知ってる。夢から覚めたみたいな様子で顔を上げてわたしを見た。
「やばい、もう終わりの時間だ。片付け始めないと。…大丈夫か、桃?ここでしばらく休んでてもいいぞ」
桃、ってみんなの前で呼んだら二人何かあったって周りにわかっちゃうよ。と思ったけど口にはしないことにした。それはそれでよし、ってくらいの浮かれた気分だった。
「平気です、ちゃんと作業できますよ。…行きましょ、外。みんなそろそろ取りかかってるかも」
各々音を立てて椅子から立ち上がる。バックヤードから飛び出そうとするわたしの腕を取って引き止め、そっと抱き寄せて髪に頬ずりした。
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