アクアリウムの中の揺らぐ水・第６話

第11章 桃の初めての恋人

よほどその場の空気が水に合ったのか、気後れも忘れてくるくると働いた。一緒に仕事した人たちには概ね好評だったみたいでその後もいろんな人に覚えられてて声をかけてもらった。片付けまで全て無事に終わったあと、佐内さんがわたしを見つけて
「ありがと、助かったよ。骨身惜しまず沢山働いてくれたな」
と直接ねぎらってくれた。わたしは深く満足し、それからは尚いっそう張り切って働いた。
もちろん佐内さんの目がある時とない時で働きぶりに差が出たりしたら絶対駄目なので、それは関係なくいつでもできるだけのベストを尽くすようにした。裏表がある人間だって周囲から思われたくないし、自分でもそんな奴だと思いたくない。誰が見てても見てなくても自分には自分が手を抜いてるかどうかシビアにわかる。自分の中の内なる佐内さんに対して恥ずかしくないわたしでいたかった。
そんな風に自分の配属先に戻ってからも前向きに積極的に動くようにしていた。
どうも、わたしは場に会う合わないがいつも割にはっきりしているようだ。それもかなり最初の時点で決まってしまう。