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「どこに行ってもすとん、と馴染んでさっさと自分から動けるからね。指示待ちしてぼうっとしてるようなこともないし。まあ、最初のうちは慣れてないしそういうのも仕方ないことなんだけど。その点柚野はわからないことは自分から教えてくださいってはっきり言うし。話が早いしフットワークが軽いからつい重宝しちゃうんだよな」
大人数で日程に余裕のある時は多少覚束ないやつがいても何とかなるんだけど。準備期間が短くてタイトなイベントだったりするとつい、気心が知れてる方がいいって思っちゃうんだよな。と少し反省するように独白する佐内さん。わたしは作業する手を止めないよう集中しながらじん、と胸を熱くした。
「…なんか。ありがたいです。そんな風に言って頂けて」
彼はわたしの隣に腰を下ろし、一緒に来客に配る予定のパンフレットを組み合わせて袋に手早く詰めながら穏やかな口調で答えた。
「別にお世辞言ってるわけじゃない。俺だけじゃなく柚野と一緒に仕事するの楽しいって感じてる人はいっぱいいると思うよ。でも、あんまりどこでも百パーセント出そうと張り切りすぎて無理するな。なんかちょっと心配なんだよ、元気な笑顔で全力で走り続けてある日突然ぱったりと前触れもなく倒れるんじゃないか?って」
「…そんな風に見えてるんですね」
微妙な気分でごもごもと呟く。なんか、馬鹿っぽいかも。わたしのイメージ。
佐内さんはちょっと慌てて作業の手を止めずに素早くフォローしてくれた。
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