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第11章 桃の初めての恋人
結局わたしは、彼ら二人とは同じグループには配属されなかった。
まあそれは仕方ない。入社前から配属への希望は通らないことが多いけど、と社長から聞かされていたし。それは本当のことみたいで正直言うと希望の部署を尋ねられる機会もなかった。
人数の限られた新人をその時の職場のニーズに合わせて配置しようとすると本人の希望を優先してる余裕はないってのが実情だろう。
その代わり、何かというと別のグループの仕事の手伝いに駆り出されたりこっちからヘルプを要請したりはごく普通で、グループの区分けに関わらず社内での交流は多かった。
一、二年もすれば会社の大概の人とは一緒に仕事することになってほぼ全員が知り合いになる。まあグループは便宜上決まってるけど、アメーバみたいに広がったりくっついたりしながら協力し合ってるから、と研修でも何回も説明された。実際に仕事を始めたらそれが事実だって納得することになった。
研修期間中何回か、佐内さんとは顔を合わせる機会があった。
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