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「?なんだ?林斗はなんで歌い始めたんだ?」
「あー…うん。林斗はな?物語の登場人物を演じて戦う事が出来るんだ。今回はそういうキャラだったんだよ。」
「…キャラ…キャラクター!俺知ってるぞ!ヤキュウを教えてくれた異世界人が教えてくれた!ゲームという不思議な空間で動く者がキャラクターだと言ってた!」
「うん。誰だそいつ。まあいい。ぶっちゃけあれ、歌う必要は無いんだよな。ゲームの音楽で歌を作っている人がいて、林斗はそれが気に入ってるんだ。」
レオンにお兄ちゃんが説明してくれた。うーん…さっきから避けれてはいるけど、ぶっちゃけ言うと…
「この先の歌詞忘れたんだよなぁ…」
「あら、勝負事に独り言が許されると思って?」
「じゃあもうちと本気を出してくれよ。まだ1発も当たってないんだぜ?貴女も、僕もまだ1発も。」
危ない危ない。素が出てた。じゃあ、今度は本気を出そう。
僕は、空中に作った〝蜘蛛の巣〟に引っかかり、木刀を構える。
「ふぅぅ…」
「あら?勝負を諦めたのですか?だとしたら、早く終わらせてあげましょう!」
「閃ッ!」
その瞬間、カーリーさんは動きを止め、落下していく。観客は、
「何が起きたんだ!?急にカーリーが落ちていったぞ!?」
「俺には見えたぞ!1発、1発だけ林斗様はカーリーに叩き込んだ!」
と騒いでいる。そこで、カーリーは叫んだ。
「この勝負!私の負けですわ!」
「えっ…かっ、勝ったのは!木枯林斗様!決着です!」
それに観客は、
「何言ってんだカーリー!1発だけだったろ!今更降参かぁ!?」
とブーイングをしている。それを気にも止めず、カーリーさんは僕に近づく。
「完敗ですわ。まさか、一瞬で10発 叩き込まれるとは思いませんでしたわ。」
その言葉に、解説者含め観客が騒ぎ始める。
「ど、どう言う事だ~!?我々の目には、最大で1発にしか見えなかったぞ!?」
「そうだ!もしかしてグルか!?」
「いえ!私は確かに10発叩かれましたわ!両腕の鎧に二回、両足の鎧に三回ずつ、胴に一回、心臓の場所に一突き!それが真実ですわ!」
そう言われ、観客は黙り込み、歓声を上げ始めた。
「すげえ!どんな速さで打ったら一瞬で10発も叩けるんだ!?」
「流石左大臣様だ!とても強い!こんな人がこの国にいたら、俺らは安心だな!」
それに紛れ、お兄ちゃんの声が聞こえてくる。それと同時に、さっきの大声が聞こえてきた。
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