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僕が使った能力は、お兄ちゃんと契約した時に得た能力。僕の場合は付与型だが、それでも充分。その能力を使うと、僕の背中に輪が現れる。そこには6本の手が付いていた。
「ッ!?」
相手が一瞬動きを止める。その間に、輪を広げる。それは、6本の腕が自由になるという事だ。それだけ、風怒拳を増やせる。だが、それだけじゃ足りない。
「【火の王】!」
風の拳は8個になり、そこに火の拳が2個現れる。そして、地面を抉り、土埃に対し、能力を使う。
「【自在変化の異形】!」
その能力により、土埃はある程度の大きさに集まると、拳の形をとる。最後の仕上げだ。
「【太陽の守護神】!」
火の拳は、色が変わる。赤から、より温度が高いとされる青色へと。
「…じゃあね。」
そう言って、僕は全ての拳を相手に向かって飛ばす。
「ひっ!やめて!やめてやめてやめて殺さないでコロサレルコロサレルコロサレル!」
木枯凛花は、近づいてくる拳に対応し、悲鳴のような叫びを出す。
「see you nexttime」
「イヤァァァァァァァぁぁぁ…」
拳を凛花の顔の前で止め、消す。凛花は、絶望したように、膝から落ち、前のめりに倒れる。それを、僕は駆けて受け止める。
「…やっぱり…僕のパラレルかな?」
「そうだろうな。どうやらお前を問題視した今のクロノスがこいつを寄越したらしい。どうする?送り返すか?」
「…いや、クロノスさんのとこには今度行くとして、凛花ちゃんは家に運ぼう。」
「…その人は…誰?」
僕の疑問に、お兄ちゃんが答えて、記憶喪失の少女が質問してくる。いつのまに起きてたのかは置いといて、
「この子は木枯凛花。僕と同じ存在…かな。 」
「…けれど…苗字…空閃じゃ…ない。 」
「僕は空閃雷疾って人じゃ…」
じゃない。と言おうとした瞬間、激しい頭痛が現れる。まるで、思い出せと言うように。忘れるなと言うように。その頭痛は、しばらくすると治った。
「どうしたんだ?」
「いや、なんでもない。あ、あと、僕の名前は木枯林斗だよ?誰かと勘違いしてるんじゃない?」
「…そんな訳…無い。」
少女は、真剣な眼差しで僕を見つめ、そう言う。どうやら眠気が来たようで、首をコクン、コクンと揺らしている。そして、振り絞るように記憶喪失の少女は
「……嘘…つき」
そう言った。そして、その少女は眠りについた。地味に心に来るよその言葉!
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