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…
「ただいまー」
「お帰り林ちゃ…ん…」
「あー…」
「…バステトちゃん!林ちゃんが誘拐して来た!」
「待て待て待て待て待て!話聞いて!?」
僕は柚子葉ちゃんを止め、さっきまでの出来事を話す。そして、記憶喪失の少女は家に泊め、木枯凛花はどうするかを起きてから聞く。それまで僕の部屋に寝かせとくという事を言った。
「林ちゃん?別にそうしてもいいけれど、襲うのは私が先だからね?」
「そもそも襲う事自体止めろよ!…行ってきます。」
僕は、記憶喪失の少女をおんぶした状態で、凛花をお姫様抱っこする。そうしないと運べない。え?腕足りないんじゃないかって?大丈夫だよ。お姫様抱っこしてる腕に少女の足を掛ければ。
「…はあ、ほんと僕にそっくりだなこの子。凛花…とか言ったっけ?」
その子は、ほとんどは僕と同じ容姿だ。ただ、女の子だから胸が大きく、服装の関係で谷間が目に入る。何回も本番をやってるのに見慣れないのは僕の性格だろう。
服装は、ただのブラのような…ブラだなこれ。それに…パレオで下半身を覆っているが、そこから見える太ももにドキドキしてしまう。同じ顔なのに!と思ったが、よく見ると凛花の方が女の子らしい顔をしていた。どうしよう…イタズラしてみようかな…?
「…んぅ…」
「…!?」
いきなり凛花が寝返りを打ったから、タンスの角に小指をぶつけてしまった。ちなみにこの家でも土足厳禁だ。日本人の習性なのだ。マイラとミルちゃんは中々慣れなかったが、住んで2日目で完璧に出来ていた。対応力が高いな。…そうだ。アスタロト忘れてた。
「えっと…〝アスタロトの部屋に行ってくる。起きたのなら、話したい事があるならこの紙の下にある部屋割りの紙を見て。凛花はここに住むかどうか、どうする?ちなみに帰れないよ。〟ってこれに記入してくれ。」
《解りました。それより、私にもうちょっと構ってください。》
天井の方に球体が現れ、喋るたびに波打つ。スキル【傍観者】だ。
「あぁ、感情豊かだな。流石僕の能力だ。」
《別に元々能力って訳じゃないのは解りますよね?それに認識自体が違います。》
「うん?ドユコト?」
《私は林斗の能力では無く、林斗の彼女》
「よぉし!アスタロトの部屋に行ってくるよ!久し振りに身体使ってこっち来てね今度!じゃ!」
《あ、ちょっ、待って!》
僕は足音を立てないように、こっそり、素早く部屋を出てアスタロトの部屋に行く。
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