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ある、朝のことだった。
村に流れるのはいつもと同じ、平凡で静かな空気と鳥がピィピィ鳴く音だけだ。
……そんな、いたって平凡なところに。
「~なんっじゃ、こりゃ~!!」
特大の、声が響いた。
声の主はこの村唯一の防具屋のおっちゃんだ。
おっちゃんは、体の底からわなわなと震えながら、俺の方をじろりと睨んだ。
だけど俺の方は笑いをこらえるのに必死だ。
にんまりと笑いながら「かわいいな、それ」とある防具を指差した。
ごく普通の、どこにでもあるような なめし革の盾だった。
──ただ全面に花がくっついてるってこと以外には。
おっちゃんは震えながら静かにうつむいて、一言 一言噛み締めるように言った。
「……ま た お ま え の ……」
おっちゃんがわなわなしながら、一気に顔を持ち上げる。
「仕業かぁ~!!」
「にっげろ~」
俺が外に向かって言うと、店の外で待機してた仲間たちが一斉に散らばった。
もちろん俺も、ぴゅう、と逃げる。
「もう、二度と来るなーー!!」
おっちゃんの声が辺りにこだまする。
俺はおっちゃんに背を向けたまま、にやりと笑った。
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