序章

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兄ちゃん……リガがすっと左手を差し出してきた。 どうやら握手を求めてるらしい。 けど俺はその手を握るかわり、パーンとぶっ叩いてやった。 「俺の名前は──」 「ティスタ」 「そーだ! ……って、えぇ?!なんで知って……?」 驚く俺にリガが にやにやしながらこっちを見た。 「実は預言者なのかもな、俺」 いって、にやりって笑う。 もしかして、からかわれてるのか……? 思って、少しムッとしながらリガを見てると、リガが言ってきた。 「そう怒るなって。いい話持ってきたんだから」 「……いい話?」 おうむ返しに聞くと、そう、と軽くリガが返してくる。 そうしてにっこり笑った。 「胸踊る、冒険と伝承のお話さ。とても楽しいよ」 その、“冒険”って言葉に、俺は胸が うずっ、ってするのを感じた。 伝承や冒険は大好きだ。 けど──。 こいつの話、聞いてていいもんかな? 俺の秘密基地をこんなに簡単に見つけちゃったりするのもだけど、急に見ず知らずの俺に冒険や伝承の話をしてくれるって言うし……。 この軽~いノリもさ。 どう考えても、怪しい。 怪しいんだ……けど、だ。 好奇心ってのは、消せなかった。 「……その、冒険と伝承の話って、どんなのなんだよ?」 何だか乗せられたみたいでシャクだけど、一応聞いてみるとリガがさらににっこり笑って見せた。 わざとらしく空を仰ぎ、そうだなぁと呟いた。 「そうだなぁ、例えば……七つの秘宝伝説、なんてのはおもしろい話だと思うんだよな~」
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