8人が本棚に入れています
本棚に追加
兄ちゃん……リガがすっと左手を差し出してきた。
どうやら握手を求めてるらしい。
けど俺はその手を握るかわり、パーンとぶっ叩いてやった。
「俺の名前は──」
「ティスタ」
「そーだ!
……って、えぇ?!なんで知って……?」
驚く俺にリガが にやにやしながらこっちを見た。
「実は預言者なのかもな、俺」
いって、にやりって笑う。
もしかして、からかわれてるのか……?
思って、少しムッとしながらリガを見てると、リガが言ってきた。
「そう怒るなって。いい話持ってきたんだから」
「……いい話?」
おうむ返しに聞くと、そう、と軽くリガが返してくる。
そうしてにっこり笑った。
「胸踊る、冒険と伝承のお話さ。とても楽しいよ」
その、“冒険”って言葉に、俺は胸が うずっ、ってするのを感じた。
伝承や冒険は大好きだ。
けど──。
こいつの話、聞いてていいもんかな?
俺の秘密基地をこんなに簡単に見つけちゃったりするのもだけど、急に見ず知らずの俺に冒険や伝承の話をしてくれるって言うし……。
この軽~いノリもさ。
どう考えても、怪しい。
怪しいんだ……けど、だ。
好奇心ってのは、消せなかった。
「……その、冒険と伝承の話って、どんなのなんだよ?」
何だか乗せられたみたいでシャクだけど、一応聞いてみるとリガがさらににっこり笑って見せた。
わざとらしく空を仰ぎ、そうだなぁと呟いた。
「そうだなぁ、例えば……七つの秘宝伝説、なんてのはおもしろい話だと思うんだよな~」
最初のコメントを投稿しよう!