一話

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 僕は、とうとう彼らの横顔を見ることが叶いませんでした。ずっと先へ行かれて、背中すら見えません。世界を違えた瞬間でもありました。  一人取り残された僕は、ただ孤独を歩くしかできません。今まで己の歩いてきた道を振り返り、悔やむばかりです。  これほど過酷だと、誰が教えてくれましたか。  残酷で哀しいところだと、誰が警告してくれましたか。  僕は、子どもの頃のままでここまで歩いてしまったのだと、どうしようもなくなってから気づかされたのでした。  こんなに惨めにしたのは誰でありましょう。  こんなに哀しい思いをしなければならないのは、誰のせいでありましょう。  全部、僕です。  僕が愚かにやってきたことです。  もっとできたはずだ。  もっとやれたはずだ。  無意味な後悔ばかりが、頭で何度も鳴ります。  なぜしてこなかったのか。  なぜやってこなかったのか。  知っていればやっていたのか。  わかっていれば、今に至らなかったのか。  何度も繰り返して、ただそれだけで終わるばかりです。  今からでも、遅くはない。  変えられることだってあるはずだ。  そのような、身を切り刻んででも前へ走ろうとする行いは、僕には選択できませんでした。  詰まるところ、僕は、自分に甘かったのです。  いつだって失敗を恐れて、挑戦をしてきませんでした。     
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