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向かいで無表情でロコモコ食ってるやつが、あのハニカミ使えるんだもんな・・・
まじまじ涼太の顔を見ていたらふと顔を上げた涼太とバチッと目があった。
「なんだよ、なんか言いてぇ事あんの?」
いつもの無表情で涼太が言う。
「いや、仕事中のおまえのハニカミにびびったなと思って」
びびったのは本音だ。だけどそれだけじゃない。同時にモヤッとした気持ちと胸がぎゅっとなる気持ちも感じてたけど。
「あ~食った。もうそろそろ戻んねぇとな、先出るわ、これオレの分な」
そう言って立ち上がる涼太に、がんばれよ、と声をかけてもう一度目が合った瞬間・・・
涼太が軽く微笑んで
「どーだ、オレだって一応社会人なんだよ、愛想笑いくらいするって。おまえの前だと愛想笑いする必要ねぇからな」
俺はふわっと笑って立ち去ろうとする涼太の腕を無意識につかんでいた。
やべぇ、まじでなんなんだよおまえ。
クッソかわいいじゃねーか。
このまま、あの女のいる場所に行かせたくない。今すぐこの腕を引き寄せて細い体を俺の腕の中に閉じ込めたい。
「ってえな、まだなんか用あんのかよ」
無表情な涼太の顔が、俺の掴んだ腕の痛みで少しだけ歪んでいるのを見て、はっと我に返り捕まえていた腕を解放した。
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