白と悪

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白と悪

あさみさんに盛大な嘘をついてしまった涼太は、あれからあさみさんに言い寄られる事は無くなっていた。(正確には俺が吐いた嘘なんだけど) それどころか、あさみさんは涼太に言い寄ってくる客や、バイトの女の子達を牽制してくれるという、今や俺の強い味方となってくれている。 もちろん、涼太がゲイ(もちろん俺の嘘)だという事もバラしたりしないと誓ってくれた。 それと引き換えにあさみさんに要求された事があるのだが・・・ 今、俺達は、そのあさみさんの要求というものに、ひどく困惑している。 それが俺達の目の前に置かれた、その名も「童貞を殺す服」とやら。 これを着用の上、いちゃこいて、その証拠写真をあさみさんに提供する。 無謀極まりない要求だ・・・ 正直、俺にとってはこの上ないチャンス。 涼太にとっては・・・男として最大の屈辱。 「これ、マジで服なのかよ、いくらニットでも、防寒力ゼロだろ・・・」 ニット素材の白のタートルネックだが、袖も背中を覆う部分もないワンピースの様な服を、つまみ上げてまじまじと観察しながら、涼太はため息をつく。 そりゃ、嫌だよな・・・ 俺はこの服を着た涼太、心底見たかったけど。 しょうがねえ。あさみさんには謝り倒して、明日返そ・・・ 「着るか」 童貞殺しを引きずって、自分の寝室に入る涼太。 え?ええ~?え?いいの?涼太いいの、ほんとに? 「おい、青、これ、パンツ丸見えなんだけど」 涼太がドアの隙間から顔だけひょこっと覗かせる。やっべえ、くっっそかわ!くっっっそかわ! 「ああ、どうやらパンツは履かないらしいぞ」 「・・・マジかよ・・・狂気の沙汰だな、これ」 ごめん、涼太、多分パンツは脱がなくていいと思う。多分だけど。でも、どうせならノーパンで!男のロマンで! よしよし、ゴソゴソとドアに隠れてパンツを脱いでいるもよう。 「コレは俺の意思じゃねえ、それを忘れんなよ。あと、先にゆっとく。100パー引くから覚悟しとけ」 ごめん、涼太。期待しかないわ。
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