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そんな気持ちをどうにか鎮めて、高校時代より少し細くなった涼太の体を抱き上げる。
体の力が抜けているせいか、重みは多少あったが、それでも涼太の体は思ったより軽かった。
壊れ物を扱う様に涼太の体をソファに預けた。
顔を覗き込むと、疲れのせいか青白く、閉じられた瞼から伸びる長いまつ毛越しにクマができていた。
眠っている涼太は、いつもの無表情により一層磨きがかかっているように見える。
キス、してえ
行儀よく寝息をたてる涼太の形の良い小さな唇に近づいて、唇と唇が触れるまであと1センチのところでとどまる。
起きてくれよ、起きなきゃこのままキスされても文句言えねえぞ、涼太・・・
そう思っても、あと1センチの距離が縮められない。俺はヘタレだな・・・
涼太に嫌われたくない。
それだけの思いで踏みとどまっている。
俺はそっと涼太から離れて、自分の寝室からブランケットを持って来て涼太にかけ、ソファの横に座り込んだ。
「ん、あさみさん、これで・・・あってますか・・・」
寝言でも仕事してんのか?大変だな・・・
っておい!誰だよ誰だよ、あさみさんて!ふざけんなよ、いくら上司でも女の夢みてんじゃねーぞ涼太!
俺の耐え忍んだ気持ちは何だったんだよ!
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