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俺はさっき我慢した気持ちが抑えられそうになかった。
もう無理だ、ぜってーやってやる。寝言で女の名前呼びやがったおしおきだ!
もう一度、涼太の薄く開かれた唇に今度こそ、勢いで思いっきり近づく。
嫉妬と欲望で腹ん中がぐちゃぐちゃになってるみたいだ。
あと1センチ、あと5ミリ、あと3ミリ・・・
「う、ん?あお?」
寝ぼけながら涼太が至近距離で目を覚ます。
「あ、起きた?だいじょぶ、かよ、おまえ、いきなり寝てん、だもん、相当、疲れてたんだな、まだ、横に、なってろよ」
しどろもどろになりながら涼太から離れる。あっぶねぇ!ほんとにキスしちゃうかと思っただろーが!
腹ん中ぐちゃぐちゃにしながらも、俺の中の冷静な部分が少しほっとしていた。
あのままキスしたら、もう歯止めがきかなくなんだろ。涼太が起きてくれてよかった。同棲初日でつまづくなんて辛すぎるからな。
「イヤ、もーだいじょうぶ、悪ぃな、運んでくれたの?」
ブランケットを畳みながら涼太が起き上がる。
「あー、上司に怒られてる夢見ちゃったよ、最悪。まあ、美人上司だからいいんだけどな」
無表情な涼太の言葉が俺にグサッっと突き刺さる。美人、なんだな、あさみさんは。
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