3.精神年齢に妥協は許されないわ

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3.精神年齢に妥協は許されないわ

 高校から帰宅する二人の女子高校生、セーラー服姿でローカルな道をてくてく歩いている。 「いや、しかし、あんたの"道玄坂ユウリ"っていう名前、絶対まともな仕事が来る名前じゃないよね」 「逆だろ、完全に逆。むしろ特別なお仕事がほいほい来ちゃいまくる名前、って言ってほしい」 「田んぼのあぜ道の修理とか?」 「いやー、季節が悪いから、もうちょいコンクリー、高くせんといかんねこりゃ」 「あんたなにものだよ」 「道玄坂工務店からきやしたー」 「そういうネタを持っているところに、まあ、いくばくかの才能は感じる」 「だって、うち、親が建設業だからね」 「もういっそ、その道に走ったら。土木ネタ芸人」 「それはちょっと日程がきついわ」 「日程?」 「私の得意は、入札と見積もりですー」 「そのネタ、 リアルにあった気がする、本家に訴えられる前にやめた方がいいよ」 「女子高生が入札と見積もりと言ったら訴えられる? こりゃあ、すごい世の中ですなぁ。王さんみたいな目になってしまいます」 「それはともかく、あんた、最近、練習してるの?」 「な、なにをおっしゃる。そりゃあ、いろいろやってますよ。コテの使い方とか」 「いいから、土木関係から離れようか」     
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