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砂漠に咲く花ゴトゥ。
そこを訪れた旅行者は口々にそう表現する。
各地に散在する少数民族たちは、人口の減少により、これまで作り上げて来た民族の伝統や文化が地上から消えていってしまうことを酷く懸念していた。
ある部族の長老ゴトゥは、文化の消滅を食い止める方法を提案する。
少数民族同士が集まって、一つの国家を作り、その中で文化と伝統を守りながら子孫を繁栄していくこと。そのために、異民族同士の婚姻を認めた。
これがゴトゥの始まりである。
ゴトゥに集まったのは、より大きな魔物を倒すことが勇者の証とされるコンドゥ族、より多くの敵を倒したものが戦士として認められるシンドゥ族、自然の精霊と会話する神秘の部族カトゥ族、呪術でさまざまなことを占うサトゥ族、ネコを神獣として崇めるアジアの民族ニャオ族、これら複数の民族がゴトゥの砂漠に集まった。
ゴトゥの女たちは、集落に各地から持ち寄った植物の種を植え、荒地だった場所を花で埋め尽くした。
集落の入り口から、可愛らしい鈴蘭や、美しい椿、色とりどりの薔薇や凛としたカーネーションなどの花が、ゴトゥ大広場の方へ広がり、通路には年に一度開かれる祭りに参加すべく大勢のゴトゥの民が列を作る。
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