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私は話の核心を切りだした。
「実はですね……マスター、この男があなたの店に頻繁に出入りしていたとの証言があるものでして……」
「ふぅむ……いや、゛ここでは゛見てませんね。それに、この男が頻繁にここに来たことがあっても、他にお客さんもいますので気がつかなかったのかも知れない」
オニールはかぶりを振った。
「こんな、しけたバーにか? いまだって客は我々とさっきの二人組だけじゃないか!」
アンダーソンが例のごとく割り込んできた。
オニールは手を止め、険しい表情でアンダーソンを見た。
「おい! アンダーソン! 無礼な態度はやめろ! マスターに失礼だろ! オニールさん重ね重ね申し訳ない。アンダーソン! お前は外に出ていけ!」
アンダーソンは納得がいかない顔をしていたが、肩をすくめてバーから出ていった。
「すみません、オニールさん。思い込みが激しい奴なんで……」
「モートさん。わたしも捜査には協力したいのはやまやまですが、あなたのお連れはひどいですね」
「いや、めんぼくない」
オニールはブランドン・ウォルシュの写真を目を細めて見ていた。
「どうか、もう一度じっくりと見て下さい。見覚えはありませんか? どんな些細なことでも結構ですから」
「……そうですね。やはり、わたしは知らない……」
オニールは頑なに知らないと言い張っている。
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