転校生

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転校生

「蒼真海斗です。テニス部で活動する予定です。よろしくね」 「蒼真君かっこいい」 「蒼真君一年生の頃からインハイ出てたらしいよ。」 「マジで」 転校生か。 5月の中旬になって、 しかもこの季節に転校生とか珍しすぎるっしょ。 黒板の前に立つ蒼真君を担任が紹介する。 蒼真海斗はゆう君とは正反対の雰囲気を持っていた。 ゆう君はどちらかというと真面目系で、ふわふわした優しいイメージで、前髪長めストレート。 蒼真さんは、スポーツティーでマッシュに焦げ茶色な髪。 多分性格も違うのだろうけどどちらもモテそうな感じ。 そして私とぱっちり目が合う。 そして愛想のいい笑顔を向けてきた。 「じゃあ、蒼真の席は一番後ろ、真由美の隣な。」 「えっ。」 いや、分かってたよ。 昨日までは私の右は何も無かったのに今日になって新しく席が追加されているのだから。 でもさ。 こんな学校のアイドル予備軍の隣に居たらまたクラスの風当たり強くなるやん。 「大丈夫だよ。なんかあったら僕が守るから。」 小さな声でゆう君が囁いてきた。 君には無理だよ。 心の中でぼそりと呟く。 そして、蒼真君との距離が縮まる、どんどんこちらに近づいてくる。 あー、もう、ダメ!こんなかっこいい人と隣の席って。 しんどい。 なら、いっそのこと嫌われればいいのかな? 嫌われたい。 「隣の席になりました。蒼真です。よろしくね!」 うわ、こいつの笑顔、なんか感に触る、嫌い。
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