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小夜子が訪ねて来た時すぐに冷蔵庫に入れるよう指示された箱を取り出す。
POPS(ポップス)と書かれた箱を開けると、
長方形のチョコレートケーキが入っていた。
3等分に切り分けるとちょっとした贅沢気分になった虎之助。
お茶とケーキ、二度に分けて運んでから弥生の隣りに座った。
ケーキを一口食べて虎之助は、花が咲いたように表情を開く。
美味しい!と思わず声をあげると、マダム小夜子は嬉しそうに頬をたるませた。
「美味しいでしょう?ポップスのケーキ、学生の頃学校帰りによく食べたの。
新宿ラミネの地下にあったポップスカフェ、よく行ったわ。
とくにディスコに行く前に…あ、あら?」
大きく開けた口の前でケーキを止めた小夜子。急に弥生の顔をまじまじと見だした。
「…新宿?あなた…江戸川さん、新宿でお会いした事なかったかしら?
なんだか新宿っていう場所であなたのお顔が…」
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