第1章 初めての依頼

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「で?そのおばさんは幾つくらいなの?」 張り込みから戻ってきた乱子こと弥生に、さっそく虎之助はマダムの件を話した。 「たぶん所長と同じくらいです」 おばさんイコール自分とさらりと言われて弥生は、ギリギリと歯を食いしばる。 私くらいのおばさんだって?と重々しい声で聞き返す弥生の目つきを見て、 自分の発言が失言だったといち早く気付いた虎之助は、 「いえ見た目は全然、所長のほうが若く見えるんですけど、  立ち居振る舞いとか持ってるバッグや靴が品がいいから。  それにお父さんの年齢が89歳っていうと子供の年齢ってだいたいこれくらいかなって 想像したんです」とすかさずフォローを入れた。 「うん・・逃げ口上もうまくなってきたわね。成長の証しだわ」 「は?はぁ、ありがとうございます・・」 責めたかと思うと感心する。弥生の頭の中の切り替えの早さというかポイントというか、未だに江戸川乱子こと田所弥生の考えることについていけない虎之助であった。
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