第1章 初めての依頼

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「それで・・どうするんですか?引き受けるんですか?  一応明日の2時が空いていたので予約入れて来てもらう事にしましたけど」 スケジュール表を弥生の前に押しやると、 「とりあえずもう一度話を聞きましょ。なんか・・面白そうだしね」 と予想外に良い反応を示した。 「もしかして、女の直感ってやつですか?」 あのマダムが言っていた。女の直感に勝るものはない、と。 探偵事務所の女所長もやはり女の直感とやらに突き動かされたのだろうか。 虎之助の言葉が心を揺さぶったのか、弥生は目をぱちくりさせながら唇を開いた。 「まあちょっと、刺激的な事言うじゃないの。よくそんなセリフが出てきたわね」 他人の受け売りをもっともらしく語るのは好きじゃない。正直に話すことにした。 「いえ、僕じゃないんです、さっきのマダムが言ってたんです。  女の直感に勝るものはないって。  だから女性所長のコノミ探偵事務所にお願いしたいんだそうですよ」 「なるほどね、そういう事か・・うん、ますます興味が湧いてきたわ。  よしっ!じゃあ元気をつけるために焼肉食べに行くか!柳君、もう店閉めよう!」 閉店時間まであと20分を残して店主は店を閉めるようバイトくんに指示する。 なぜ興味が焼肉につながるのかよくわからないが、焼肉にありつける喜びに 頬をたるませながら虎之助は引き戸に鍵をかけカーテンを引き、 早々と店の明かりを落とした。
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