かみ合わない二人

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「俺と付き合って下さい」 幻覚なんじゃないかと思った。 妄想のし過ぎで、頭がおかしくなってしまったんだと。 あの深谷君が、私に告白してくれるなんて。 それは中学三年生の時。 一年の頃から片思いしていた、同じクラスの深谷君。 背が高くて、顔はキリッとした目元が特徴的な美形。 無口で近寄りがたいけど、スポーツもできて成績優秀な彼は女子からの人気がすごかった。 多分クラスの女子全員が一度は彼にドキッとしていただろう。 そんな彼から、「ずっと好きだった」なんて言われたら、もう頭がおかしくなっちゃうでしょう。 かくいう私も卒倒しました。 泡を吹いて倒れました。 こんなことって、宝くじで一億当てるくらいの奇跡だと思うんだ。 いいや、それ以上に。 嬉しい、よりも「信じられない」が先だった。 倒れて目が覚めた時、保健室のベッドで。 深谷君が心配そうに私の顔を覗きこんだ時のこと、今でも忘れられない。 泣きながら、「私も好き」って言った時のこと。 この奇跡を、大切にしなくっちゃって、そう思ったんだ。
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