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____「………………」
始まって数分で、真綾の様子がおかしいことに気づいた俺は、咄嗟に彼女の肩に手をまわしてしまったけれども。
ヤバいヤバい、この状況ヤバい。
真綾は心底怖がっているのか、顔を思いきり俺の胸に埋め、もんのすごい密着状態。
こんなん心臓がもたない。
でも幸せすぎる。
真綾の髪からふわりと良い匂いがして、理性が飛びそうになる。
もう、呪いなんてどうだっていい。
むしろずっと呪われていてくれ、永遠に。
なんて素晴らしい映画なんだ。
怖がっている彼女には申し訳ないが、俺は心の底からこの作品の監督に感謝していた。
しかし真綾、観たかったくせしてこんなに怖がるなんて……ホント可愛いのな。
耐えきれずに、もう一方の手で彼女の髪をそっと撫でた。
サラサラで、ふわふわで、もう同じ生き物ではないみたいだ。
ああ、もう究極に幸せ……。
こだまする絶叫もなんのその、俺はこの時間が一生続けばいいと願っていた。
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