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突然明るくなったものだから、油断しきって弛みっぱなしだった顔が真綾にバレてしまった。
俺、そうとう鼻の下伸びていたと思う。
だらしない顔を見られてしまったのに動揺して、それを隠す為に必死に冷静を装った。
思ってもいない感想をべらべら述べるも、真綾は本当に怖かったようで、少し元気がないみたいだ。
そのあと行ったレストランでも、彼女は俯きがちで、どこか上の空で。
なんだか会話もぎこちない気がする。
……もしかして、さっきの俺の行動に引いているんじゃ!?
急に触ってきてキモいとか!?
警戒されてる!?
「ごめん!」
いきなり謝る俺に、驚いた表情の真綾。
「…………?」
「いや、さっき……暴走しすぎた」
すると、突然吹き出す真綾。
ようやく彼女に笑顔が戻って、ホッと胸を撫で下ろす。
「私の方こそ、ごめんね。……なんだか、深谷くんが気持ちよくて……」
真綾の発言に、今度は俺がコーヒーを噴いた。
『フカヤクンガ気持チイイ』!?
「いややややや!違くって!あの、そうじゃなくて!体温がその!適温っていうか!」
真っ赤になる真綾と、多分負けず劣らず真っ赤になっているであろう俺。
「あの、もう置いちゃっていいですか?」
料理を運んできた店員がテーブルの側で立ち往生しているのに気づいた。
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