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びくった。
「好き!」って響き、それが例えパスタに向けられたものでもドキドキしてしまう。
なんだかぎこちなくなってしまったけど、少しずつまた会話できるようになってきたな。
「……このナポリタン、ただのケチャップ味じゃない。なんか本格的な味がする」
「本格的な味?」
「なんつーか、イタリアンな感じ」
俺の言葉に、真綾がクスッと可愛らしく笑う。
「イタリアンってことは、トマト感強いってことかな?」と真綾。
「そうそう、そういう感じ」
「そんなんだー!美味しそうだね」
「一口食べる?」
俺がそう口を滑らせた途端、真綾は急に真っ赤になった。
「……えっ?」
「……え?あ、ごめん。いらなかったか」
見るからに困惑している真綾に、俺は笑って誤魔化した。
「た、食べる!」
すると、彼女はあろうことか、真っ赤になりながら目を瞑って小さく口を開いた。
____これは、もしかして…………
『あーん』?
ちょっと待って、本当に可愛すぎる。
まさかあの真綾が、『あーん』なんて。
普段からは想像できない積極的な彼女に、心を鷲掴みにされ、思わず荒くなる鼻息。
微かに震えた手でパスタを一巻きし、彼女の愛らしい唇に近づけた。
真綾はそれをパクりと頬張り、うっすらと瞳を開く。
トマトソースがついた口許が、色っぽいと思ってしまった。
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