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____「…………うそだろ……」
充足感いっぱいでアクセサリー店を出た後、携帯を確認した俺は、奈落の底に突き落とされた。
『深谷くんごめんなさい。
ちょっと疲れてしまったので先に帰るね。買い物ゆっくり楽しんで。今日はありがとう』
真綾からのメールだ。
冷や汗がぶあっと吹き出していくのがわかった。
ショックなのは先に帰ってしまったことよりも、その理由だった。
俺、真綾を疲れさせてしまったんだ。
一人で舞い上がって、振り回して。
右手で持っている小さなピンクの紙袋を見つめて、自分の愚かさに深く息を吐く。
もう電車に乗ってしまっただろうか。
いてもたってもいられずに、俺は全速力で駅へ向かった。
今なら間に合うかもしれない。
ちゃんと謝らないと。
……どこら辺で真綾は疲れていたんだろうか……?
さっきのショッピングモール?ムダにだらだら歩かせてしまったしな。
それとも飯を食っているとき?一緒にいるのが楽しすぎて変なうんちくばかり宣って。
いや、もしかして既に映画館でか?調子に乗って肩なんて抱いたりして、白けてしまったとか。
それとも…………それとも待ち合わせの時点で…………!?
今日一日の己の愚行を省みているうちに、あっという間に駅へたどり着いた。
見渡しても、真綾の姿はない。
すぐさま改札を通ると、自販機がある辺りで、男二人に囲まれている彼女を発見した。
顔面蒼白の後、腸が煮えくり返る。
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