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また泣き出す真綾に、どうしていいかわからず、咄嗟に抱き寄せた。
周りの視線が痛かったが、そんなの知るか。
俺が今すごく心配しているのは、……また引かれてしまったらどうしよう、ということだけだった。
すると、背中に優しい感触を感じた。
「……私の方こそ、ごめん」
ポツリと真綾が呟いた。
「私、ずっと不安で。……深谷くんは、本当に私のこと好きなのかなって。私でいいのかなって。今でもずっと片思いしてる感覚だったの」
「……真綾」
そんなわけないない!むしろ俺の方が片思い?っていう位で。
「だけど今、深谷くんの気持ち初めてちゃんと知ることができて、嬉しかった。……ありがとう。私も、今日ずっと浮かれてたよ」
そうはにかんで笑う真綾が本当に可愛くて、綺麗で。
この気持ちが、全然伝わっていなかったこと、……伝えられていなかった自分が悔しい。
…………だったら。
さっきよりもぎゅっと強く抱き締めると、彼女は驚いたように顔を上げた。
それをチャンスとばかりに、彼女の唇に触れる。
だったらもう、伝えるしかない。
真綾を不安にさせないように。
目一杯、伝えるしか。
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