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「おっす!深谷!ってめっちゃほっこりしてるやん!」
教室につくと、友達の吉田が目ざとく俺の心境を察知した。
「さてはまた例の彼女と会ってたな」
「……まーな」
俺ってそんなにわかりやすい顔をしてるんだろうか。
ということは、真綾にも浮かれてデレデレしていることがバレているかもしれない。
さっきの電車の中での自分を思いだし、顔から火を吹きそうになる。
「いーなー。幸せそうで」
「……まーな」
ああもちろん幸せだ。
毎日真綾の顔が見れるんだから。
だけど本当は、もっとそばにいたい。
「深谷くんおはよ~!」
「きゃーん今日もイケメーン」
クラスの女子達にモーションかけられても、見向きもしない。
俺は真綾一筋だ。
「しかしお前が好きになるってことはさ、よっぽど可愛いんだろうな、彼女。なあ、どうやって付き合ったん?」
「それは……」
担任がやってきたので、吉田はチッと舌打ちをして自分の席に戻った。
さっき真綾からもらったクッキーを取り出して眺め、俺は彼女と出会った時のことを一人思い出していた。
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