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遡ること三年前、ちょうど私達が中学一年生だった時のこと。
あの頃の深谷くんは、まだ成長期前だったのか今よりもずっと小柄で、背丈は私と変わらなかった。
だけど入部していたバスケ部では誰よりもいつも一生懸命で。
先輩やクラスメイト達からどんなにバカにされようとも、諦めずにひた向きに努力している姿が眩しくて。
当時吹奏楽部だった私は、朝練に向かう途中で毎日こっそり彼の姿を見ていたんだ。
たった一度だけ、勇気を出してプレゼントを渡したことがある。
練習の時に使えそうなスポーツタオルだった。
「いつも応援してます。頑張って下さい」
って手紙も添えて。
思い出しただけで悶絶してしまうほど恥ずかしい。
深谷くんは一言、「ありがとう」と言い、いつもの無愛想なままにそれを受け取ってくれた。
でもそっからはもう、全く進展なし。
その後すぐに背がうんと伸びた深谷くんは、あっという間に女子達の人気者になってしまい、どんどん遠い存在になっていって、とても告白できるチャンスなんてなかった。
見ているだけでいいと、半ば諦めかけていた中学三年の夏、まさか深谷くんから告白してもらえるなんて、思ってもみなかった。
まさに晴天の霹靂。
そんなわけで、何故私なんかを選んでくれたのか未だにわからずに、必死にこの状態にしがみついている今日(こんにち)なのだった。
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