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遡ること三年前、ちょうど俺らが中一だった頃。
俺はバスケ部に入るも、背は低いし技術も体力も周りに追いついてなくて、毎日辛い練習の日々だった。
だけどどんなに努力し続けても、補欠にすらなれずに、焦燥感に襲われていた俺は、もう少しで心が折れる寸前だった。
そんな時に現れたのが、真綾だ。
突然名前を呼ばれ渡されたプレゼント。
そんな経験生まれて初めてだったし、初めて女子という生き物を意識した瞬間だった。
細くて、白くて、声が高くて。
一言で言うと、何もかもが可愛かった。
「いつも応援してます。頑張って下さい」と書かれた手紙と、使いやすそうなスポーツタオル。
もらった瞬間から、俺の生涯の宝となった。
俺の真綾人生の始まりだ。
隣のクラスだった彼女を、ことあるごとに探しては目で追っていた。
彼女は控えめで、目立つようなタイプではなかったが、いつもニコニコとしていて清潔感があり、なんつーか、見ているだけで癒される存在だった。
真綾に自分のことを見て欲しくて、とにかくなんでも頑張った。
バスケ部ではついに試合にも出られるようになったし、成績も上がっていった。
少しでもカッコよくなろうと、牛乳を飲みまくって背も伸ばして、髪型も気にするようになって。
しかし告白されるのは、他の女子からばかりで、あの日以来、真綾に手紙を貰うこともなかった。
……もう飽きられてしまったかもしれない。
フラれる勇気がなくて、どうしても自分からは言い出せなかった。
だけど中三の夏。
俺は決心をした。
それは他の男子が、真綾のことを誉めていたからだ。
……絶対に他の奴にとられてたまるか。
俺は必死だった。
半分フラれる覚悟で告白したその日、真綾は泡を吹いて倒れた。
ああもうだめだ、と諦めかけた。
だけど目を覚ました彼女は、予想外の返事をくれた。
「私も好きだった」と。
奇跡が起きたかと思った。
それは今でも変わらない。
好きすぎて、大切すぎて、未だにどう接していいかわからないし、全然彼女に触れられないでいる。
手さえ握れていない。
今日こそ距離を縮めたいと、悪戦苦闘する毎日なのだ。
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