祭りの朝

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 誰もがこれから始まる祭りに夢中になっている。村の中央を抜けて山頂へ向う道をみな楽しげに語らいながら歩んでいる。    この村は、高さ400メートルほどの丘の頂上を囲いながら、渓谷を見下ろすように家々が建てられていた。  村の一番高いところには教会があり、教会の前の広場からはこの村を含んだ丘陵地帯の全域を眺めることができる。今、晴れ着に身を包んだ人々が長い列になってその頂上を目指している。  よし、と袋をもう一度抱え直して顔を上げると、サーシャも頂上を目指して歩き出す。  みんなが笑顔で挨拶をかわしながら頂上を目指していくこの時間がサーシャは祭りの中で一番好きだった。  語らいながら、時々周囲を見回して、それぞれに飾り付けられた家を眺めて目を楽しませている。今年はその飾りつけを幼馴染のハビエルとカトリーナが担当していた。  左右対称に綺麗に飾られているのがハビエルの担当で、一部分が思う存分華やかに飾られているのに時々明らかに手抜きだとわかる簡単な装飾になっているのがカトリーナの担当だろう。  2人らしさが出ていて見ているだけでおかしくなる。  早く2人にその感想を伝えたくもあり、サーシャは足をはやめた。  吹き抜ける風を追いかけるように頂上を目指す。     
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