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祭りの夜
祭りは夜明けまで続く。
たくさんのご馳走を食べ、踊り疲れた後はパチパチと爆ぜる日を囲みながら、大人たちが遠い思い出を語り合う。
遠い先祖たちの話も交えて懐かしい思い出を語りあいながら日の出を待つのが恒例となっている。眠ってしまった小さな子供たちは、寒くないように毛布に包まれて夢の中で祭りを楽しんでいるかのようにときおり微笑んでいる。
今年初めて夜明かしを行うと決めた子供達は、眠い目をこすりながら、話に参加しようと頑張っている。
サーシャはハビエルとカトリーナと一緒に、東の空がよく見えるように教会の入り口に腰を下ろしていた。しんとした夜の空が広がっており、じっと上を向いているとこの村ごと空を飛んでいるような気分になる。
「みんな、毎年毎年よく話が尽きないわよね」
カトリーナが呆れたようにつぶやく。
「まぁ、生まれた時からの思い出がたっぷり詰まってるんだろうからね」
ハビエルがホットワインを2人に配りながら、カトリーナをなだめる。サーシャも含めて同い年の3人だが、今年になってすっかりハビエルは大人の風情を漂わせている。
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